ゴミ収集車による大腿骨果部粉砕開放骨折
CLAP maistarによる即時内固定
Case 4
症例:20歳代 男性
パッカー車(ゴミ収集車)に下肢を巻き込まれて受傷。当院救急搬送される。





大腿骨果部の骨片は翻転しており、骨折面が露出
骨折面の表面は黒い粒子が付着している。
さて治療方針は?
治療方針は?
ゴミ収集車で高度に汚染された、関節内骨片を含む開放骨折
このレベルになるともはや迷いません。
即時内固定で
✓当日は癒着もないので完璧な整復が容易
✓骨片間の血腫を最小限にして、菌が増殖するスペースを減少
✓遊離骨片の髄内からの血流を再開
✓iMAPで髄内から洗浄して、iSAP tubeで回収

Double plateで固定。
整復は容易
✓骨片間の血腫を最小限にするので菌が増殖するスペースを減少
✓遊離骨片は完璧な整復で髄内からの血流を再開
✓iMAPから骨折部に流出することを確認
✓関節内に置いたiSAP tubeから関節内に抗菌薬投与+tubeで回収
✓外側のプレートに沿ってtubeを留置
✓LCLが断裂していたので修復
✓AP instabilityは残存するが後日必要であれば再建






CLAPの経路を確認
iMAP pinから入った液が骨折部を経て関節内に流入
遊離骨片へもある程度移行されると推測される。
関節内へ出た液はiSAP tubeから回収される。
iSAP tubeから入った液は関節内に出て
関節面の骨折部から多少は骨片間に移行されて遊離骨片へも分布
関節内を巡った液はチューブから回収される。
内側のプレート、外側のプレートに沿ってそれぞれ一本ずつ設置
内側のiSAP tube から入った液は、内側と外側両方から流出される
外側のiSAP tubeら入った液も、内側と外側両方から流出される
iMAP pinから入った液は主に内側から流出
このようにCLAPの経路がうまく流れることを確認する。flow test
術後はそれぞれのチューブから
Gentamicin 60mg/50ccにして、2ml/hで注入。

術後経過
5日目に外側の腫脹が強いので外側にiSAP tubeを追加。
その後腫脹は消退して臨床検査データも改善
16日間のCLAP留置で抜去
CRPは陰性化
腫脹も徐々に軽減していった。

術後3.5ヶ月で退院
独歩可能、膝屈曲 80度可能
4ヶ月で外来受診 杖などの補助具も不要で独歩可能
SLR可能 extension lag (-)
前後の動揺性も徐々に改善
術後4年立ちますが、感染の再燃もなく、別の会社で仕事についています。

術後4ヶ月
まとめ
高度に粉砕して汚染された大腿遠位部での開放骨折
関節面を含む骨片に対して汚染が強いために切除すると関節機能はあきらめざるを得ません。
感染を恐れて内固定に行かないのではなく、感染を抑えるために内固定を優先する一例
院内に内固定材料を置いている病院は少ないので、創外固定で待機してできるだけ早いタイミングで内固定に持っていく。
待機期間、内固定への変換ではCLAP介入は必須。